世界有数の豪雪地帯に広がる高層湿原の山々

2006年6月17日:夜行日帰り


栃木・福島県境の帝釈山・田代山を訪ねてきました。 
日本有数の豪雪地帯の山々には湿原・池塘が多く存在しますが、広い湿原に山頂が存在している光景はレアケースであり今回はまさにそのような山々でした。
ちょうど1年前に苦労して登った名峰「平ケ岳」や新潟「苗場山」・「会津駒ケ岳」の中門岳周辺が同じような姿を見せています。

上越国境・尾瀬周辺や東北にはこのような高層湿原が数多くありますが、これは世界的に見ればこのような山容・気候・植生は非常に稀有な存在です。
日本特有の豪雪気候がつくりあげた環境であり、地球に残されたお宝物の1つといえましょう。 

残雪の山は重畳たる深みと味わいを増して私たちの目を楽しませてくれます。
そこに雲がかかっていると、山のパノラマはさらに情緒を添えて雰囲気を引き立たせてきます。
新緑は目に眩しく、高山の花々は今が盛りと短い命を精一杯PRしようとしています。

このような光景を手軽に満喫できる日本の登山者は本当に恵まれているとあらためて認識いたしました。

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尾瀬の燧ケ岳、雲海の中から聳え立つ勇姿が素晴らしい  
日光連山を福島側から見るのは初めての体験
残雪の会津駒ケ岳から中門岳高層湿原の山容
 

オサバグサの大群に遭遇!

アズマシャクナゲは新緑の季節の象徴的存在

ショウジョウバカマは線香花火みたいに自らをPR

タテヤマリンドウの端正な姿と上品な淡青色

垂れ下がる姿が一般的なイワカカガミだが扇を広げたよう

花に亀裂が入り始め、風車になりつつあるチングルマ

ミツバオウレン、実際見ると非常に小さい花 

山頂上部に広がる高層湿原、豪雪の山で見られる独特な姿

湿原風情を満喫して、木道の上で全員集合の笑顔



5月の南アルプス鳳凰三山

2006年5月20−21日:1泊2日

Fツアー5月企画に参加し、南アルプス「鳳凰三山」の大パノラマ縦走の山旅を満喫してきました。
中央高速を諏訪方向に進んでいくと左側に、山上に針を立てたようなひときわ珍しい姿をした山塊が見えて来ることでしょう。
地蔵・観音・薬師岳の3つのピークを持った「鳳凰山」(地蔵岳がシンボル)です。
長大な南アルプス連峰北部の前衛部に聳え、目の前には白根三山や甲斐駒・仙丈岳が迫る魅力溢れるパノラマ展望台となっています。
学生時代に初めての単独行をした思い出の山であり、約30年ぶりの再会登山となりました。


(1日目)

新宿発「特急あずさ」で甲府からアプローチ、5月下旬の山はまさに「目に青葉」・・・新緑の輝ける季節です。
登山口から爽やかなブナの山道を急登、1時間余りすると夜叉神峠に到着。
この峠は鳳凰三山の稜線上にあり、そこに登りつめれば学生時代に眼の当たりにした白根三山の雄大な姿が広がっていました。



いざスタート、いつ歩いても快適なブナ新緑の山道



可愛い姿のニリンソウが道端で出迎えてくれる


白根三山は「北岳」を盟主として「間ノ岳」「農鳥岳」3つが連なる3,000m以上の山々(常に雪に覆われる白峰とも表現されます)
「北岳って富士山の次に高い山なの?」「間ノ岳・農鳥岳って聞いたことがな〜い。」・・・という人も世の中には多いことでしょう。
名前のつけられ方も安易、地味でマイナーっぽいこの3つの山々、実はスゴイんです。



夜叉神峠、稜線に出ると白根三山の姿が開ける


「北岳」は
1. 日本第2の高峰(3,193m)
2. 山頂まで600mの高度差で突き上げる岩壁(大バットレス)を擁する。
3. 「キタダケ」の名を冠する高山植物が7種類ある。   
まさにの花の宝庫であるとともに哲人的な姿と気品をもった日本の十指に数えられる名山です。
それでもあまりメジャー・有名でないのはこの山の奥ゆかしさなのかもしれません。
豪快な姿で積極的に迫る甲斐駒や特異な姿で興味を引く鳳凰三山の陰に隠れて、北岳は雄姿を積極的に人里にあまり見せようとはせず謙虚な面持ちがあるからです。
ピラミダルな天を突く颯爽とした姿がイメージにあったのですが、今回縦走から見た形はややズングリしてドッシリとした印象。
山の形も見る位置によって違うんだなとあらためて認識した次第です。
  


白根三山の残雪の勇姿、日本標高第2位「北岳」(右)および第4位「間ノ岳」(左)を擁する


「間ノ岳」(あいのだけ)は日本百名山の1つでありながら地味な雰囲気の名前・・・(単に真中に位置するからと名付けられたと思われます。ツマンネ〜)
しかしこの山は何と日本の標高ベスト4(3,189m)、大スター槍ヶ岳よりも標高が高く、双璧の大スター穂高岳には1mの差で日本第3位の座を譲っています。
そしてその悠然とした山容は本当に大きく堂々としています。
北岳まで3q・農鳥岳へも3q、合計6qの長さは槍ケ岳から大キレット経由で奥穂高岳までの距離に相当するとのこと。(いかに山のスケールが大きいかがわかります)
白根山脈と赤石山脈のジョイントにふさわしい貫録をそなえ、まさに南アルプス最大の巨人と言えましょう。



農鳥岳(白根三山)の姿は男性的で貫禄がある


「農鳥岳」は、春の田植えの時期になると残雪の山に鳥の形が現れることに由来するもの。白根三山の中では唯一深みがある名前です。
その深みは秘境の山里・歴史・伝説の深さにも通じます。
麓にある奈良田部落は深山の山里で交通の不便なところ、奈良時代に孝謙天皇(弓削の道鏡と親密になった女帝)が病を治すために
8年間もこの秘湯の里に滞在し宮殿を造営したと伝えられています。
天皇がこの地に遷宮してきた時に「ここも奈良だ」と言ったことから「奈良田」と呼ばれるようになったとも・・・。
孝謙天皇は1度譲位したあとに重祚(カムバック)して称徳天皇になったことは有名な史実ですが、そのブランク期間って湯治目的でこんな山奥にいたんだ・・・!
今回の山紀行ネタ取材の中で歴史再発見、日本史勉強の面でも学生時代からの再会となったような気がします。
そして農鳥クンは標高(3,026m)も立派! 剱・立山、白馬・鹿島槍、聖・甲斐駒などのメジャーな名山たちよりも背が高いのです。
今から約10年前に北岳・間ノ岳に初めて登りましたがピストン山行だったため、この農鳥岳は未だ踏破しておりません。(奈良田への下山ルートは長く非常にハードらしい) 
いつかはスケールの大きい白根三山を北岳から歩き抜き、奈良田に下りて由緒ある古湯に浸かりながら歴史の重みを味わってみたいな・・・と思っております。
  
「鳳凰三山」縦走路は、北部南アルプスのメイン山脈を間近に展望しながら歩ける贅沢なパノラマウォークコースです。
南アルプス連峰は個々の山容が本当に大きく、静岡まで長大に連なる日本最大級の巨峰山脈。
貫禄ある残雪連山のパノラマを久しぶりに眼の当りにして、学生時代に訪れた時に味わった感動・衝撃が走馬灯のように蘇ってきました。


残雪の白峰連山を観ながらくつろぐ、欧州アルプスの雰囲気

パノラマ稜線の道はやがて杖立峠・苺平を経て原生林の風情となり、今日の宿泊地「南御室小屋」に到着。
昼過ぎまでは若干不安定だった天候は、夕方になると高気圧に完全に覆われて雲1つない真っ青な空が広がってきました。
確実な快晴が約束された明日への期待感、いつも通り皆のアルコールのペースは進み、笑い声に包まれながらハイな気分での就寝、(v_v)・・・(今回は熟睡)

(2日目)

南御室小屋を4:00に起床、5:00出発(やはり山は早立ちに限ります。)
予想通り雲一つないピーカン快晴、まさに今日は白根三山を間近に見ながらの稜線歩き、確実なパノラマが望める期待感と安心感に満ちたスタートです。
あわせて今日のコースは時間的にも十分余裕のあるスケジュール、こんな贅沢な縦走に恵まれることは滅多にありません。

後ろを振り返ると遠く遥かに富士山のシルエットが浮かんでいました
薄明の雲海に浮かび上がる富士は、時間を経過するとともに早朝時の薄い幻影からその青さを増し段々と鮮明になっていきます。
広い大自然スクリーンの中で見れるこのような幻想的な薄明富士を見られたことは生まれて初めての経験。
(まさに日本画のような光景でまさに至福の極み。やはり富士山は見る山ですね)


2日目は雲一つない快晴!遠景には薄明の富士が・・


雲海に浮かぶ薄明富士のシルエットは徐々に鮮やかさを増していく

昨日の白根三山は各頂上部に雲がかかっており眺望はやや不完全燃焼でしたが、今日は遮るものなく山容を全て俯瞰できます。
最南部の農鳥岳は、スケールの大きい岩峰山塊がドッシリと鎮座しており非常に男性的で貫録を感じました。
学生単独行の時も同じ光景を見ていたはずですが、農鳥の重厚な山容イメージはあまり脳裏に刻まれていない・・・。
当時は余裕がなく印象を十分吸収できなかったからかもしれません。 
あらためて見ると本当にいい山だなと思います。(憧憬強まれリ)


薬師岳頂上にて(白根三山の全体が一望!)

鳳凰三山の最高峰は「観音岳」(2,840m)ですが、ピークを踏んでも山自身の印象は殆どありませんでした。
「薬師岳」(2,780m)の印象も同様で、この2山は自らの立場・位置付けをしっかり認識しているような気がします。
本人たちはあくまで、南アルプス諸名山(白根三山・甲斐駒・仙丈)を見ていただく展望台としての黒子に撤しており、
あまり前面に出て主張しすぎてはいけないとの気持ちで自らの存在意義を見出しているのではないのでしょうか? 
   
稜線を進行していくと、大いに目立って聳える「地蔵岳」(2,764m)の姿(オベリスク)が見えてきました。
その背後には迫力ある甲斐駒・仙丈が鎮座しており、まさに大パノラマの中を歩く鳳凰三山縦走路の魅力がピークに近づきつつあります。


地蔵岳へ続くパノラマロード、遥かには威容を誇る甲斐駒が聳える
 
「地蔵岳」は屹立したシンボルを誇らしげに顕示、奇異な形を人目周辺に惜しげなく晒してさらに目立とうとしています。
奥ゆかしさは全くなく「標高は観音に譲っても俺が鳳凰山の代表」だと言わんばかりに積極的に自らをPRしまくっている感じです。
約30年前、地蔵岳を初めて間近に見たときの驚き・感動は今も胸に焼きついています。
そのときは御座石鉱泉(今回の逆コース)から登ってきたこともあって、下から見上げる位置で大迫力のオベリスク岩塔が目に飛びこんできた時の衝撃は忘れられません。
日本で初めてこのオベリスクに登ったのはW・ウェストン(日本アルプスの名付親)、明治37年に日本初のザイル使用でのクライミングで岩塔の上に立ったそうです。
学生時代にこの岩塔の取り付きまで行き、塔頂に攀じ登りたいなとは思ったものの身の危険を感じてあきらめた懐かしい記憶があります。
今回もFリーダーとKさんがトライされていましたが、やはり取り付きまで行ったものの同様に登頂は断念されておりました。
 
オベリスクのふもとには賽の河原が広がり、そこには山の名前の通り、地蔵尊が沢山立ち並べられています。
鳳凰三山の名前はすべて仏教に由来しており、この山も信仰登山のメッカであったことでしょう。
ホウオウの名前の由来も、
1. オベリスクが大日如来(法皇)として尊崇されたこと
2. 考謙天皇(奈良法皇)が登ったから
などの諸説があるようです。 


 鳳凰三山のシンボル・地蔵岳オベリスク(花崗岩の岩塔)

地蔵尊の背後には甲斐駒・仙丈の大パノラマが迫り、遠くには八ヶ岳・奥秩父の山々が眺望!
一点の雲もない青空のもとでこのパノラマをもっと見ていたいと、写真を撮りまくりながらゆっくりと逍遥した時間を一人味わっていました。


ムシカリ(別名オオカメノキ)、花が流れるように連なる


名前不明、誰か教えて(ホタルブクロではありません)

パノラマに別れを告げてあとは下るだけ、砂礫の道からやがて森林限界があらわれ始め再び緑の樹林帯に入っていきます。
鳳凰小屋に向かう下山道では雪と土砂交じりの沢でコースを見失い引き返した場面がありましたが、あとで聞くとこのまま雪渓を下って沢に落って亡くなった方が何人もいるとのこと・・・事故にならずに本当によかった。
気持ちのいい下山道にはブナの新緑が輝き、ミツバツツジ・ムシカリなどの花が咲き誇り、鳥の声も囀っています。
この季節は、爽快な空気・眩しい陽光・生命の躍動感・残雪の山容、まさに山登りのベストシーズンでしょう!

30年前に訪れた時は、辛い登りや単独行の不安感もあって苦労したイメージが強く、今回の余裕ある楽しいパノラマ山行とは大きな違いでした。
しかし初めてオベリスクや夜叉神峠からの白根三山の絶景を見た時の衝撃・感動の強さは今もしっかり自分の身に刻まれています。
今回の山旅は、当時の感動を回想し南アルプスの風景・歴史・自然をあらためて噛締めることができた素晴らしい2日間でした。・・・(^Δ^)/(^Δ^)/ヾ
 

2006GW:春らんまん山紀行

(その1) 秩父・甲州〜霧が峰・妙義山:4県逍遥ツアー

2006年4月22−23日:1泊2日
毎回楽しい興味深い企画をたててもらえる中高年有志のFツアー、この春の企画はなんとも豪華で贅沢な2日間でした。
4県にまたがる春の山々(素朴な山里の新緑・花々、早春の湿原巡り、裾野に広がる一面満開の桜の絶景)を1泊2日で一挙に満喫する大周遊の山旅、しかもそれぞれの山々の逍遥は、風景・風情をじっくり味わいながらの余裕をもってのゴージャスウォーキングでありました。
これもひとえにFツアー企画力の高さとバス機動力のおかげです。
しかし「飲みすぎ反省」・・・またもやってしまいました。
「酒なくしては山旅の楽しみなし」を信条とする元気な我等中年軍団は、登り出す前にバスの中で一升瓶を空にしてしまい、結局は後悔・苦行を味わうことになります。
何度もこの失敗を身に染みながら「次こそ教訓として生かそう!」との思い虚しく、今後もまた繰り返してしまいそうです。
  
(1日目:その1) 「秩父の花里」

最初に向かったのは、花の山里秩父。
花三昧の今回の山旅にふさわしく関越「花園インター」で降りて、芝桜で有名・最近超人気の羊山公園に向かいます。
芝桜の丘はまさに目に鮮やかな紫と白の一面の花々、バックにそびえる武甲山とのコントラストは絵画のような光景でした。
この時期はあふれる観光客で大混雑必至、車で行く時は渋滞を覚悟しましょう。
(西武レッドアロー号で行くのがお薦め)

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GWに満開となる秩父羊山公園の芝桜は鮮やか
      
秩父セメント鉱山で有名な武甲山とお花畑

秩父の春は日本の原風景。
人工的なにおいのする芝桜ガーデンよりも、素朴な山里に咲き誇る自然の花々こそ、春の訪れを心の底から感じることができます。
特に感動したのは、清雲寺の老木しだれ桜。
花の盛りは終わっていましたが、新緑の滝桜はイキイキと聳えており、古木とは思えないほどに生命の勢いがみなぎっておりました。
このお寺自体はそんなに有名ではないものの、このしだれ桜は実に見事!
秩父の春には必見の穴場です。


素朴な秩父山里に咲き誇る満開の桜

清雲寺にて(花と新緑のしだれ桜が同時に並び立つ)

清雲寺最大の老木しだれ桜(威厳と貫禄)

秩父の山里を象徴するようなのどかな風景

(1日目:その2) 「甲州:桃の郷」

Fツアーバスは秩父から荒川源流の大滝村(埼玉・山梨の県境)を抜けて、甲州の果実郷に向かいます。
雁坂トンネル開通後は、埼玉から山梨への交通は飛躍的に便利になりました。
果実郷(牧丘・山梨・勝沼)は甲府市の東部に位置し、ブドウ・桃・さくらんぼなどのフルーツ田園風景が広がっています。
今日のメインは山梨百名山である兜山(913m)の登山。
お手軽ハイキングとタカをくくっていたため、いい日和に皆の気分は緩み移動バスの中はすでに花見酒状態・・・。
午前中に秩父の花々を楽しんだことが、宴会モードへの引き金となってしまいました。
兜山への山道は簡単なコースと思いきや、いざ登り出してみると何とキツイこと・・・。
頂上はなかなか見えず息も絶え々ゼエゼエと大苦戦。
予想外にハードな道のりは、ゆるみきったアルコール登山に大いにバチを与えてくれたのでした。 
→反省    m(u_u*)m  

・・とはいえ、桃やツツジ・ハナズオウなどピンクの鮮やかな花を見ての楽しい登山、
甲府市街を見下ろす丘陵からは残雪で真っ白な富士山が初めて見るアングル・レイアウトで俯瞰されます。
充実した気分でハイクを終え、本日の宿泊地サンライズ蓼科(会社保養所)に向かいました。 
(当然、またも宴会)


フルーツ丘陵のシンボル、桃の花が満開(桃源郷)

色鮮やかなハナズオウ、まさに「咲き誇る」姿

ミツバツツジはやや優しい色合いで春を彩る

残雪の富士を背景に甲府の街を見おろす

(2日目:その3)「早春の霧ガ峰」

蓼科保養所を出発し、2日目は車山から霧ガ峰の八島湿原へのトレッキングです。
眺めが素晴らしいビーナスラインをバスで畝リ上がっていけば、早春の山稜草原にはあちらこちらに山焼きの光景。
奈良若草山や伊豆大室山に代表されるように春の風物詩ですがこんな標高の高い所で見れるとは思いませんでした。
山の枯草を焼くことにより灰が肥料となって新芽が出やすくなり、害虫の卵の駆除にもなるそうです。

登山口は車山スキー場、リフトを脇目に緩やかな稜線を登っていくと目指す方向にはレーダーの建物が見えてきました。 
車山の頂上は、気象庁観測所と平らな広場なのであまり風情はないものの360度の大パノラマ!
八ヶ岳・蓼科山・白樺湖・南アルプス・中央アルプス、美ヶ原の背後には長大な北アルプスが横たわっています。
2,000m近い山の斜面にはまだ早春の残雪が多く残っており童心に返ってグリセード!
滑りを楽しみながら降りていけば車山湿原にはザゼンソウの群落に遭遇。
(ミズバショウの仲間で祠に籠もった修行僧のようです)
昨日見た秩父・甲州の春爛漫とはまた違う楚々とした「早春の息吹」を感じたのでありました。

八島湿原はミズゴケなどの泥炭が1万年以上かかって堆積して生まれた高層湿原で、夏のニッコウキスゲは壮観で有名ですが、早春の風景はまだ殺風景です。
全景一望できる物見岩を通過し、湿原に入り木道を半周して今日の目的を達成。
後ろを振り返ると車山が遥かに見えて、その距離感は今まで歩いてきたほんのちょっと前の光景が懐かしく感じられました。
ビーナスラインに出るとFツアーバスが迎えて待ってくれていました。
(出発口に戻らなくてもよいこの機動性は本当に助かります)


霧ガ峰一帯は湿原や草原が広がり、北アルプスも一望

車山から残雪の道を下る。無邪気にグリセードに尻セード

車山湿原の春を告げるザゼンソウ(座禅僧?)

八島湿原を一望できる物見岩にて(鋭角的な岩塔群)

八島湿原を歩き抜き満足感に浸る。背景は遥かな車山

(2日目:その4)「妙義山の山桜」   

霧ガ峰から小諸・佐久方面に向かい上信越自動車道に乗って一路帰京・・と思いきや、碓氷峠のトンネルを抜け車窓から奇岩の山々が目に入ると「妙義桜を見ずに妙義山を語るなかれ」との話が出て、Fツアーの一行は急遽道草をしていこうということになりました。
妙義山は、赤城山・榛名山と共に上毛三山の一つで日本三大奇勝にも数えられています。
奇岩・奇石が林立する厳しい山容は、大自然の見事な造形美を見せる天下の名勝です。
日本の山には珍しい中国桂林のような景色、その絶壁の周りを覆うように広がる一面の山桜、メンバー全員はこの絶景に感嘆の声!とにかく「素晴らしい」の一言に尽きました。 
山一面の桜は奈良吉野以来でしたが、奇岩群とのコントラストや大河の流れのように満開桜の木々が連なる光景は生まれて初めて見るもので本当に訪れてよかった・・・


まるで中国桂林のよう、日本では珍しい光景

まさに満開、山一面の桜!皆の歓声があがる

ひときわ高い岩峰は茨尾根のピークというらしい

吉野桜にも勝るとも劣らない!大河の流れのよう

妙義桜と岩嶺のコントラストは圧巻そのもの

2日間で4県を巡り渡って、春の山々を大満喫した贅沢な逍遥の旅。
それぞれの春の装いは違う表情を見せ、バリエーションに富んだ山の風情を味わうことができました。
このような中身の濃い山旅を堪能できたのも、機動力のあるFツアーのおかげと感謝しております。



★(その2) 花の名山:両神山

(2006年4月29−30日:1泊2日)

埼玉奥秩父の両神山(日本百名山)に「みどりの会」の皆さんと一緒に参加させていただきました。
この山の名はイザナギ・イザナミの両神が祀ってある由来によるもの、しかし古くから尊崇されている山であり諸説あるようです。
(ヤオガミ=ヤマタノオロチ、リュウガミ=竜神、オオカミ=お犬様・狛犬、ヨウカミ八日見=日本武尊が八日間で登山した等)
両神山は交通アクセス・行程でやや計画が組みにくい山(日帰りではやや長丁場でハード、1泊2日ではラクチン)であります。
今回は清滝小屋に泊まり、ゆっくりと山の花々・新緑を楽しむ余裕あるスケジュールとなりました。
車でのGW関越道は大渋滞の危険あり!と幹事が機転を利かし、急遽西武電車で行こうということになり池袋を出発。
西武秩父駅で昼食を取って出発なのですが・・・またもビールの量がやや多目、ほろ酔い気分のスタート。
(前回の教訓はどこへ?)
タクシーで日向大谷口まで乗りつけていざ出発、菜の花や山里の花が咲き誇り、秩父の春の爛漫模様が心を浮き立たせます。
この時期の山道は新芽・新緑がまさに萌え〜!で本当に気持ちがいい・・・爽やか快適に小屋までの道を辿っていきました。
清滝小屋が今夜の宿、夕食前は例によって明日への糧(当然お酒)ビール・ワインそして寒いので日本酒はバーナーで熱燗に・・・
夕食後20:00前には早くも就寝、GWの山小屋大混雑の中での長〜い夜は人それぞれ悲喜こもごもでした。

1.早く寝すぎて深夜目覚めて悶々とした人
2.衝撃の高いびきを発散し続けた人
3.ついに一睡もできなかった人
(私は3)

2日目、いざ頂上に向けて出発。余裕をもっての逍遥登山で花や新緑を楽しみながらの歩きです。
この山は「花の百名山」の1つでアカヤシオツツジジで有名ですがこの時期にはまだ早く、花は多年草のものが多く見られました。
雨・曇りの天気予報は見事に外れ、快晴に恵まれ素晴らしい山行となり大満足、帰りは西武秩父の昨日と同じ店でまたも宴会。
花と緑とお酒と快晴パノラマ、そして楽しい方々と本当によき時間を過ごさせていただきました。
(御礼)

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小屋への登り道、新緑が目に眩しい

清滝小屋で一泊、明日に備える

予想外の絶好の晴天、頂上付近に雲が湧き立つ

名前どおりにサブの花が咲くニリンソウ(五分咲き)

ヒイラギソウ(葉が柊の形に似ていることが名の由来)

ハシリドコロ(食べると死亡する確率が高い毒草)

コガネネコノメソウ(まさに名前通りに猫の目そのもの)

ムラサキケマン(ケマンとは仏壇具とのこと)

菜の花満開の春うらら、溢れる満足感での下山



★(その3) 四万の森・滝めぐりと嵩山ハイク

(2006年5月3−4日:1泊2日)

家族を放ったらかしにして仲間ばかりと山に行っていたので、罪滅ぼしにと温泉・新緑ハイクのGW家族旅行を企画しました。
(本当は、最近山に一緒行ってくれない妻と娘を拝み倒してつきあってもらったのが真相・・・)
群馬・新潟の県境・志賀高原の近くに「四万(しま)温泉」という自然溢れる穴場温泉(中之条町の奥)があります。
ここはコンビニ・ファミレスなど風情そがれる施設は全くなく、素朴な田舎・日本の原風景を絵に描いたような所です。
家族3人、新緑の山道をバードウォッチングしながら滝巡りをしてみようということで逍遥ハイクに出かけました。
目に眩しい新芽、鳥の声、アオダイショウ・モグラに遭遇してビックリ、ヒキガエルも重なり合ってまさに春、生命の息吹・躍動感が溢れる季節です。
途中で野生のニホンカモシカに遭遇してさらにビッ-クリ!  ヾ(◎o◎;)

四万の森の小ぶりな名瀑(摩耶の滝・小倉の滝)を訪ねて、国民宿舎温泉に宿泊。
(夜は定番・卓球ですね)
翌日は、四万川の甌穴(おうけつ)を訪ねました。
甌穴とは、川の渦巻き状の流れにより石や砂が同じ所を回り、川底岩盤と接触・侵食されてできた丸い穴です。
数万年もの長い年月を経て、川底で自然が造り出したまさに自然の芸術と言えましょう。
(必見!オススメ)

中之条町には上杉謙信の支城だった嵩山(たけやま)があります。
素朴な山里風景には、嵩山の岩峰から連ねられた鯉幟が見事に勇壮にたなびいていました。まさにGWの風景!
嵩山の小天狗ピークまで登ってみれば360度のパノラマ!まさに絶景を味わい満足感に浸りながら関越道で帰路に。

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春の水辺、ウマノアシガタの花々とタンポポの綿毛

萌え立つ木々の新芽、植物も動物も一番元気な季節

小倉の滝、優雅な迫力感。ミニ「袋田の滝」という感じ

光溢れる山道、途中で野生のニホンカモシカにも遭遇!

エメラルドグリーンの 四万川甌穴、川底で自然が造り出した芸術

上杉謙信の支城だった嵩山、勇壮にたなびく鯉幟が見事

木々の新芽たちは光の中でまるで蝶が舞っているよう

嵩山の小天狗ピークから望む絶景は本当に素晴らしい

ナイスなGW山紀行3連発でした・・・

スノーシュー初体験!(日光戦場ケ原:スノートレッキング)

2006年2月25日

皆さん、現在人気上昇中のウインタースポーツ「スノーシュー」ってご存知ですか?
雪のフィールドを歩くための道具「西洋版かんじき」を履いて楽しくハイキングをするレジャーで、カナダや北欧で冬の遊びとして人気を集めているそうです。
かんじき裏側には爪で滑り止めを施しているなど雪の上を歩く為の色々な工夫がされていて、雪原や冬山を楽しくハイキングすることができます。
1度はやってみたいと思っておりましたが、山仲間ツアー冬の企画で日光でのスノーシューデビューを果たすことが出来ました。
初体験のレポートをお送りします。

男体山や日光連山を見ながらの光徳牧場・戦場ヶ原・小田代ケ原をグルリと周遊するコース、ここはスノートレッキングのメッカとして有名です。
かつてはクロスカントリー・歩くスキーがメインでしたが、最近はスノーシューが静かなブームになっているようです。

ここ数日雨が続き当日は悪天候を覚悟していたのですが、朝からピーカンの快晴!気温も春のような暖かさです。(嬉しい誤算・・)
しかし前日の雨が大気放射冷却で凍りつき、日光湖畔の木々はまるで満開の桜のような樹氷光景が広がっていました。
中禅寺湖は絵画のような幻想ムード、なんと素晴らしい日に恵まれたのだろう!・・・と、いつもの自己満足世界に浸る山仲間たち
記録的な豪雪となったこの冬、真冬2月の日光も深い雪の中での悪戦苦闘かと思っていたのですが、意外にも殆ど雪がありませんでした。


バスの車窓より その1
(桜並木ではありません。霧氷に映える日光湖畔)


バスの車窓より その2
(幻想的な朝の中禅寺湖、絵画のごとし) 



戦場ヶ原に到着、いざ出発!(背景には男体山の雄姿)


戦場ケ原の北東部に鎮座する太郎山もドッシリとして風格がある

スノーシュー装着は非常に簡単。靴の前部とサイドを固定しますが、カカトはフリーに上下自在、雪上歩きには非常に適しています。
今回はザラメ雪の中を、クロカン組・スノーシュー組が混在で同じコースを辿る行程で「結構シンドイのかな・・」と思いきや、これがまた歩きやすい!
傾斜ある道や狭いルートも自由自在、無駄な力を使うことなく自分のペースで歩けるので全く疲れを感じません。
今回のスノーコンデションでは、平坦な雪道をスキーで推進しなければならないクロカン組の方がやや苦労している印象を受けました。

戦場ケ原もその昔は浅い湖・湿原だったそうです。
白い雪原からは、男体山・真名子山・太郎山、反対側には日光白根前衛の山々、その背景には曇りない真っ青な空が広がっています。
青い空・蒼き山と白樺雪原のコントラストを楽しみながら美味しい空気を吸う開放感、木道を進み林道バリエーションコースを抜けていく爽快感!

これは噂に違わずオモシロイ! いきなりハマってしまいそうな予感がします。


これが噂のスノーシュー!なかなかオシャレな履物です


装着して雪原に踏み出す!上着もいらない暖かさ



戦場ヶ原からの男体山(今年の日光は意外と積雪が少ない)


小川のせせらぎ(早くも春の息吹が感じられる)


春の息吹も感じられる小川のせせらぎや、早春の木漏れ日を味わいながらのトレッキング、休憩場所にようやく到着。ビールが美味い!
約3時間の楽しいスノーシュートレックを終えて締めくくりはやはり定番の温泉、和の代温泉「やしろの湯」は滑り感のあるいいお湯でした。

帰りのバスでは皆の持ち寄ったお酒(八海山・ワイン等)や珍味を仲間同士でワイワイと楽しみ、夕方無事帰京。
到着駅の繁華街に出て、美味しい料理が味わえるお店でさらにもう一杯。 満喫ホロ酔いで気持ちよく家路につきました。

日光戦場ヶ原の美しいパノラマでのスノーシュー初体験は、また人生での楽しい思い出がしっかり刻まれたような気がします。


スノーシューとクロカン混成部隊は雪原を進む


陽光まぶしい小春日和の雪木立


快適ザクザク・・・白雪原に映えるコントラスト、蒼き日光連山


日光白根前衛の連山(前白根・五色山・金精山)


【番外編】

冬の北八ケ岳

2006年2月3-4日:1泊2日

家族スキー旅行に出かけ、ピラタス蓼科ロープウェイで北八ケ岳(横岳)山麓まで上がり冬のアルプスパノラマとパウダースノーを満喫してきました。

当日朝の気温は氷点下4℃。

前日に降った新雪が鮮やかな樹氷風景をつくりだし、粉雪のダウンヒルは雪煙の快適滑走!

八ケ岳周辺は冬の晴天率は70%以上、パノラマビュー絶好のエリアです。

遥か彼方には、北・中央・南アルプスの真っ白な連山が青空にクッキリと映えていました。


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横岳ロープウェイ山麓駅にて、いざダウンヒル

樹氷から北八ケ岳(横岳)を望む

白銀の南アルプス主峰が遠景に広がる

南アルプス主峰(北岳・仙丈岳・甲斐駒)

北八ケ岳のシンボル、蓼科山
  

冬の田園風景に横たわる八ケ岳連峰
 

晩秋の上州2名山 (冬の足音が聞こえる)

2005年11月19-20日:1泊2日
関越自動車道を走り渋川伊香保IC(群馬県)に近づくと、やがて両側には裾野を広げた二つの名山が見えてくることでしょう。
1つは国定忠治で有名な赤城山、もう1つは氷のワカサギ釣りで有名な榛名山が、パノラマチックかつ明るい姿で迎えてくれます。

新潟生まれの小生にとって、冬の帰省時に日本海側と太平洋側の気候の差を劇的に感じるのはこの2名山を仰ぐ時のような気がします。
正月帰省から東京に戻る時に、真っ白な雪国風景は関越トンネルを抜けると青空の広がる乾いた光景に一変(川端康成の逆体験)!
さらに車を走らせれば、翼を広げたような上州2名山が視界に入ってきます。左右の名山を従えたゲートをくぐるように進む関越道ドライブ。
輝く明るい青空の中でゆったりとした山々を見ると、雪国育ちの私はやはり安定した冬の太平洋側気候は本当にいいなとしみじみ思ってしまうのです。

この2つ山の共通点は、
1.山名はともに総称(赤城・榛名の個別の山はない) 
2.山頂部に多くの峰を聳え立たせて、秘めた火口湖を隠し持っている。
3.広い裾野をもつ。 
4.信仰にささえられた山である。 
5.観光地化され、手軽なハイキングができる。 
6.天気に恵まれる機会が多くパノラマを楽しめる。
等々

特徴・雰囲気ともに似たもの同士で、まるで双子の兄弟のように感じられます。

今年の締めくくりは「パノラマハイクで伊香保温泉を楽しもう」という中年3人組の安易な企画だったので、山の趣は期待薄と思っていたものの2日間終わってみればなかなか心刻まれる印象深い山旅でした。
2005年最後の山紀行レポートをお送りします。

[1日目] 赤城山(1,828m)

西高東低の冬晴れの日。
今回は「温泉主体の安直スケジュールなので登山口到着は10時頃でいい・・・」と、朝の出発は通常より余裕の遅立ちで関越道を北上。
ところが何と関越は事故渋滞で、登山口の到着は昼過ぎとなってしまったのです。
晩秋の山は夕暮れが早く、この時間の行動開始はやや致命的・・・。
しかも周りはクッキリ晴れているのに赤城山頂上部だけが雪雲に覆われ、気分は一挙に暗〜く不安バージョンに落ち込んでしまいました。 

「今日は温泉だけを楽しみにしよう・・・」と自分に言い聞かせ、赤城山主峰の黒檜山ピストンだけの行程に急遽コース変更して重いブルーな足取りで登山開始。
  
しかし歩き始めてみればそこは一面、幻想の世界!
樹木に付着した霧氷はまるで満開の桜、目の前に迫る山は2年半前に見た春の吉野山(奈良)のようでした。

眼前には地蔵岳と大沼が俯瞰され、冬晴れの青空と雪雲が交錯する姿を繰り返しています。
大沼の湖面は時たま冬日を浴びて急に眩しく光を放ち出す、まさにイリュージョナルな光景!感動の声が連続。
通常ならば視界が利かない単調な樹木帯の山道は、予想もしないメルヘンロードに変身しており、中年3人組は大いに得をした気分で下山。

「こんな楽でお得な1000名山でいいんだろうか?」と思いつつ、気分はもう伊香保温泉に向かっておりました。

伊香保温泉の名物は、小高い山にある伊香保神社まで300m続く石段街。
(戦国時代末期から400年以上も続く伊香保温泉のメインストリート)
360段の石段には、旅館や公共の湯処、土産店が立ち並びます。
冷えた体で街の風情を満喫したあとは、やはり温泉のぬくもりとお酒が五臓六腑にジ〜ンと染み渡り幸福感。
明日への山に想いを馳せて早めの就寝となりました。



歩き出すとそこは一面、霧氷の世界


黒檜山登山道から大沼を見下ろす。正面は地蔵岳


雪雲に煙る大沼湖面が白銀の光を突然放ち出す


まるで吉野の山桜が満開になったような光景


有名な伊香保温泉の石段(旅館や土産物屋が軒を連ねる)

[2日目] 榛名山

伊香保温泉を7時過ぎに出発、今日のコースは榛名外輪山の縦走(ピーク1,411m)と榛名富士(1,391m)。
榛名湖半に車を置き、パノラマ縦走コースの登山口から氷室山・天目山のアップダウンを繰返していくと、目の前に突兀状の山が姿をあらわし徐々に迫って来ます。
この山は相馬山と呼ばれ、遠くから見る榛名連山のギザギザの中でひときわ高く目立つピークとなっており、その姿はまるでイルカの頭のよう。
ピーク下の取り付きにつくとそこには赤い鳥居(山頂には黒髪神社が祭られている)があり、山岳信仰の修行場の雰囲気が漂っています。

相馬山からの眺めは、雲ひとつ無い冬晴れの大パノラマ! とはいえ西高東低冬型のため、新潟県側谷川岳や北アルプス方面は一面の雪雲(大荒れの様相)!
しかし、南西方面に目を転じると、八ヶ岳から富士山方面・秩父などの山梨から関東方面はクッキリと澄み渡り、太平洋側には伊豆大島まで望めます。
まさに日本海側と太平洋側気候の分雪嶺(・・小生の勝手な造語)を目の当たりにしたのでした。

上州はカカア天下と空っ風。
伊香保温泉の仲居さんや観光地売店のオバサンはテキパキしているが会話は素っ気無い印象。
ドライな応対は、乾燥した気候・空っ風の風土(分女嶺?)によるものなのかな?・・・とか勝手なこと書いていると、差別発言とか言われそうなのでこの辺でやめときます。

縦走下山後は登山口の駐車場に戻るためのバスを待つのですが、とにかくこの時間がムチャクチャ寒く辛い!もう晩秋ではなく、山は確実に初冬なのだとあらためて実感。
バスで榛名湖半に戻ると、そこにはまさに絵画のような榛名富士が存在感を見せて湖の上に鎮座していました。
日曜日だけあって観光客が沢山でしたが、この光景はひっそりした秘境の山の中にあったらもっと感動的に見えたでしょう。

ロープウエイで榛名富士に登り、昨日の赤城山・今日の榛名連峰の全体俯瞰を確かめて写真におさめていざ帰路へ。
13時に関越渋川伊香保ICに乗ると車はスイスイ、15時に練馬ICと明るいうちに家に着くことができました。
(渋滞を避けるためにはやはり早立ちが一番ですね)

今回の安直おじさん晩秋ツアーは、結構印象深く満足感のある山旅でした。


榛名外輪山の縦走コースはパノラマと奇岩の連続


突兀の相馬山(外輪山ピーク)をめざす。


カルデラ湖に浮かぶ榛名富士はまるで絵画のよう


榛名富士から眺める榛名連山(相馬山がひときわ高い)

 

秋の東北2005(神室山・月山):終わりよければすべてよし

2005年10月8-9日:前日夜行1泊2日

10月3連休に紅葉まっさかりの東北の名山、神室山と月山を訪ねてきました。
雨のち晴れ、「有終の美であれば印象は強く刻まれる。」今回の山旅はそんな感じです。

[1日目] 神室山:日本200名山(1,365m)

秋田・山形県境、みちのくアルプスとも呼ばれる神室山。
東北一のヤセ尾根で、アルペン的風貌の山々が連続する素晴らしいパノラマウォークが
味わえるとの噂に皆の期待が高まっておりました。
しかし想いむなしく、秋雨前線が横たわったその日は終始雨の山行となり、全身ずぶ濡れの
苦行の1日・・・・唯一温泉だけが癒しの楽しみとなってしまいました。
でも、この山境はもう1度晴れ渡る日に再トライしてみたい・・。

 
雨の中、神室山へ向かう。山の秋を象徴する真っ赤なナナカマドの実が雨水を滴れる。

 
濡れた葉っぱを青々と開くリンドウの鮮やかな彩色


ブナの巨木も多く見られる。張り出す枝葉から雨水を自身に集めて根元を潤す。


1日中、雨の苦行・・・早く温泉に入りたい。悔しいけどこんな日もあります。


ようやく下山、林道沿いで山栗拾いを楽しむ。

[2日目] 月山:日本100名山(1,984m)

山形の月山は、古より修験道の信仰の山として崇められた出羽三山の主峰であり、
名の通り月孤の如く優しい山容を有しています。(夏スキーのメッカとしても有名)
芭蕉も奥の細道紀行途中で登ったという記録が残っております。

当日の天気予報は晴れ、今度こそと期待感を脹らませてバスに乗り早朝8合目登山口に到着したのですが、
そこに広がっていた光景は、雨と霧のミルキーの世界・・・。
こんなはずでは・・・、落胆の気持ちとなり、重い足取りで登山開始。
頂上では晴れてくれよと祈り、時間を稼ぎながらのスローペースで登ったもののついにピーク到着時も霧の中・・・・。
集合写真は、白き虚しき背景の中で精一杯のつくり笑顔となってしまいました。


何〜にも見えましぇん・・。あーあ今回はついに頂上パノラマに恵まれず・・・

しかし天は我らを見捨てておりませんでした。
失意の中で寂しく下山しているその時!霧のベールが徐々脱ぎ捨てられたのです。
霧が一挙にに晴れて広がっていく光景は、まさに鮮やかなコントラストが織り成す紅葉の絶景・・・
落ち込んでいただけにその感動はひとしお!
「隠されていた中から垣間見るチラリズムの真髄」と「渇望感から得られる倍化された喜び」を味わったのでした。
木道を歩く中、目に映る錦秋の紅葉はますます光を吸収し、まぶしいくらいに輝きを増していきます。
我々の歓喜の声は歩くほどに増幅され、満足感に浸りながらの逍遥下山となりました。
まさに終わりよければすべてよし・・・。2日のずぶ濡れ苦行は最後で報われたのでした。



霧が一挙に晴れ、稜線が姿を現す!皆の足は止まりパノラマの美しさに見入る。


鮮やかな紅葉はますますと輝きを放っていく。目に焼きつく感動のパノラマ!


贅沢な逍遥下山を楽しむ。本当に時間の感覚を忘れてしまう。


遠景、月山。(月の孤の如し)