【番外編】

万座温泉:家族スキー&激闘入院レポート

極楽から地獄~人生初の大厄

2007年2月24-25日~3月31日

健康だけが取り柄だった小生にも、ついに遅れて来た人生の大厄に見舞われたようです
このたびは、皆様にいろいろとご心配をおかけして申し訳ございませんでした。
おかげさまで2回の腰椎手術も成功し、神経障害にもなることなく無事退院することができました。
入院中は、皆様方からお見舞いや数々の激励メールを頂戴し、どれだけ勇気づけられたかわかりません。
誠にありがとうございました。 m(_ _ )m

まだコルセットを巻いて自宅リハビリの身(コル巻隆雄)ではありますが、久しぶりに「ローリングウエスト山紀行」を寄稿し、皆様に感謝の意を表すとともに自戒の気持ちを込めて事故・闘病報告をレポートさせていただきます。



(極楽編:その1) 雲上の露天風呂「名湯:万座温泉」

この冬は史上最高の暖冬。気象庁の発表によると12―2月全国平均気温は平年比1.5度も高く、また東京都心部の初雪は3月16日と観測史上最も遅い、記録的な暖かい冬となりました。 
3月は一転して寒い日が続きましたが、3月20日には東京の桜が全国一番早い開花宣言です。
昨年は全国的に記録的な豪雪だったのに、今年のスキー場は雪がなくてまさに閑古鳥・・・。
雪融け水不足で、今年の夏は日本全国各地で渇水の危機に見舞われるのかもしれません。
この積雪状況の大きなブレ・異常気象はやはり地球温暖化によるものなのでしょうか?

家族スキーは昨年に続いて5度目、今年はカミサンも前から憧れていた「万座の露天風呂」を目玉として、万座プリンスホテルを昨年末から予約済み。
「このお湯に入れればスキーは2の次でもいい・・」との気持ちだったため、積雪が少なくても全く気にもかけず、2月24日(土)長野自動車道から碓氷峠を越え軽井沢経由で万座を目指します。

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かつて碓氷峠越えでアプト式列車が走り抜けた信越本線の煉瓦アーチ橋(国の重要文化財)
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軽井沢を抜けて万座温泉に向かう浅間の裾野高原道路から見る雪の浅間山

当日は本格的な寒波(この冬には珍しく西高東低気圧配置)となり、万座温泉スキー場の1日目は完全に吹雪の中での滑りでスタート。
10本ほど滑り早々にゲレンデを引き上げて万座プリンスホテルの宿にチェックイン。
いよいよ白濁の温泉に身を沈めます。♨ ドポン・・・ あ~極楽・極楽~・・・ O(≧∇≦)o  ♨
やはり硫黄臭のある濁った湯が、一番温泉らしい温泉だと思います。実に最高ですね~!
 (だってここは日本一の名湯:草津温泉のすぐ近く・・・同じ泉質なのであります。)
真夜中に目覚めて午前3時、誰もいない露天風呂に再び向かえば、そこはまさに感動の光景!
光源に白く煙る幻想的な雪見の露天湯、空には満天の星が広がっていました。


誰もいない真夜中の万座温泉の露天風呂湯煙にけむる雪の幻想的な湯に浸る
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満天の冬星の下、白濁・硫黄の極上温泉極楽気分のひとりじめは贅沢のきわみ

早朝みたび、黎明のお湯にも浸かれば天上の幸福感はさらに極まれり・・・。(@^_^@)
「雲上露天風呂」の標識の彼方には白雪の峰々が見えます。真っ赤に染まり始めているぞ~。
冠雪した「本白根」連山の稜線より出づるご来光はまさにダイヤモンドの輝き!☆◇☆ 
今日は雲一つない青空!素晴らしいパノラマスキーにも期待が膨らみます。


みたび早朝の露天風呂へ!贅沢三昧・・・雪見の白濁温泉はやはり憧れのお湯です
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お湯に浸りながら見る草津「本白根山」黎明のシルエットの向こうは朝日の薄光が・・・


 「標高1,800m雲上の露天風呂」の標識、遠方の白雪の峰々が赤く染まる
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ついにご来光!
ダイヤモンド本白根!



(極楽編:その2)白銀のパノラマスキー・パウダースノー満喫

万座温泉スキー場は、長野・群馬県境にある山奥にあって標高が高いため、雪質の良さは昔から有名です。
かつて財界で権勢をふるった西武グループの堤康次郎・義明親子が、軽井沢とあわせて古くから観光開発に着手してきた由緒あるスキー場で、今年は開業50周年を迎えます。


今日は一点の曇りなき快晴!絶好のスキー日和に満面の笑み

 噴煙たなびく浅間山(左)と従座する浅間隠山(右)の勇姿

右側に目を移せば穏やかな山容、四阿山(あづまやさん)と根子岳

2月25日(日)一点の雲もない青空、昨夜の吹雪で積もった新雪感触はまさにパウダースノー!
遠くには日本百名山、噴煙を上げる「浅間山」、「浅間隠山」(昨年のGDM-OB会で登った山)、「四阿山」(あづまやさん)、その右には「根子岳」の勇姿が望めます。
まさに目がテン!霧氷に彩られた清楚な樹林の姿は北欧のような雰囲気(行ったことないけど・・・)を醸し出しています。
とても史上最高の暖冬とは思えないこの対極なる雪山光景に、朝から感動~! ♪♪
ウキウキ気分でスキーを滑走させれば、表面部分は新雪でパウダーシュプールが楽しめます。


素晴らしいパウダースノーの早朝ゲレンデ、いざ滑降!(妻)
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誰もいない新雪の林間コースを独り占め、快適~!(妻・娘)

リフト最上部の丘に登ってみれば、さらに荘厳・感動のパノラマ光景が目に飛び込んできました。
左には白銀の北アルプス「後立山連峰」、右には北信濃の名山たち。
真っ白な雪に覆われた連峰群は冬晴れの青空に映えて光を輝き放ち、清廉な白さを一段と浮き出させています。
昨日とはうってかわって本当に素晴らしい日となり気分はウキウキ、ワクワク。 ♪(^ェ^)♪ 
白濁温泉で心身を癒し、美しいパノラマ絶景を楽しみながら、パウダースノーの快適なシュプールを大いに満喫できる幸せ。 
まさに心は極楽天上気分!←この辺までは。ここまでは・・・。 
(もう少しあとに襲われる身の不幸なんて、これっぽちも予想することなく・・・)


雄大な北アルプス「後立山連峰」の荘厳な美しさ (遠方左から五竜・唐松・白馬・雪倉の名峰群)
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北信濃を鎮護する名山たち(高妻・黒姫・妙高)遠方には白銀の雨飾山が望まれる


クローズアップ、浅間山!貫禄あるその姿に再び感動! GDM-OB会での浅間隠山も見える。まるで夫婦山のよう
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本当に素晴らしいスキー日和に幸福感の絶頂!この辺までは・・(来たる事故など予想もできず)



(地獄転落編:その1)空中反転!ローリングバースト

快適な滑りも十分楽しみそろそろ手仕舞いにしようと思っていたAM10:30、ややスピードを上げて直滑降していたところ、ちょっとした小高いコブの上にさしかかってしまいました。
本来は前傾姿勢で入らなければならないのに、スピードで加速しているスキー板が先行してしまい完全に後傾で高く舞い飛んでしまったのです。(→神楽坂女史命名:ロリバウワーの舞)
空中での視界は180度一面の青空、そのまま背中から真直ぐ落下!☆★目には衝撃の星々・・!
運悪く、背中・腰を強打した雪面はカチカチのアイスバーン(コンクリート面のような堅さ)でした。


衝撃!! 腰部を転倒強打!(地獄へ一挙に転落)
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痛み耐え天を仰いで妻子待つ・・・・(樹の下で激痛の涅槃)

そのときは単に背中を強く打った程度と思っていたので、運行リフトの下でスキーばらばらの状態で痛がっている姿をリフト搭乗客に見られたくなかったこともあり、そのあと一人でスキーを装着し、ロッジの方まで自力で結構歩いたんですよ。←今から思うと「よう歩いたな・・」とぞっとしますが。

そのあとは腰の痛みがだんだんきつくなり、ついにスキー監視員へSOS! (>m<) 。。救助。 
救急搬送雪上そりに梱包されてスノーモービルに引っ張られスキー場診療所に直行。(初体験)
「遭難した人の心境だなあ・・」と天を仰ぎながら、ゲレンデ雪面の滑りを背中に感じていました。



(地獄転落編:その2)診断結果に愕然!

群馬・西吾妻福祉病院に緊急入院し、レントゲンとCTスキャン検査を受けました。
ヒビが入ったかな・・?程度との甘い考えは打ち砕かれ、診察結果は「第二腰椎破砕骨折、靱帯切断」・・と予想外の重傷でした。
1カ月入院、さらに1カ月自宅療養が必要と聞き、目の前は真っ暗! (m゚◇゚m)!!
実は3月1日から異動となり新規重要プロジェクトに着任することになっており、多くの人に迷惑をかけると思うと相当ショックで落ち込んでしまいました。(恥ずかしい・・という気持ちとあわせて)

立春の日、家族で「川崎大師」に家内安全祈願に行ったのに・・・、厄除け効果がなかったじゃないですか・・・?と、そのときは神仏への恨み節もチラリ。  ◆T_T】


立春の日に川崎大師祈願に行ったのに・・・いや、行ったからこそむしろ救われたのだ・・・
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西吾妻病院に1日入院、生まれて初めて救急車で移送され、群馬の雪山に別れを告げて関越道へ

翌2月26日(月)、群馬の病院から民間緊急搬送車で搬出され、渋川伊香保ICから関越自動車を走り、16時過ぎに川崎市元住吉の関東労災病院に移転入院とあいなりました。(救急車も初体験)



(忍耐苦痛編:その1)人生つねに塞翁が馬

その日以来20日間、寝たきりで絶対安静の日々が続きました。 (;´д`) 
でも手術前においては、頭脳明朗(明晰ではない)、手足はピンピン、腰の痛みもあまりなく快食・快便・快眠、健康の極みでした。(意外と元気な姿にお見舞いの皆さんもややビックリ) (@~∇~@)


関東労災病院(外科技術の信頼は高い)に無事到着&即日入院、これからお世話になります・・・
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病室の天井しか見られない寝たきりの生活に突入(でも意外と元気です!手足も動いて笑顔も・・)

一度はブルーな心境に落ち込んだものの、いざ開き直ると気分はずいぶん楽になってきます。
「起きてしまったものはしょうがない。気持ちを切り換えてこの現実を受け止めて治療専念しよう。」
「こんな重症にもかかわらず、神経が一切やられていなかったことは本当に不幸中の幸い」(^ェ^)
「もしかしたら一生車椅子生活になっていたかもしれない。やはり「川崎大師」祈願のご利益があったからこそ、悲惨な状況に陥らずこの程度で済んだのかもしれない。地獄から救われ、大感謝!」
「人生つねに塞翁が馬、ちょっと立ち止まって自分をゆっくり見つめ直せと天が言っているのかもしれない。」・・と考えれば、自己レビュー・充電期間を与えられたという前向きな気持ちになります。
この間、皆様からいろいろな励ましのお声やお見舞いを頂戴し、誠にありがとうございました。



(忍耐苦痛編:その2)いざ手術、厳しい激痛!

「全身麻酔ですから手術自体は全く痛くないですよ。でも手術後の2~3日は結構痛いので覚悟しておいた方がいいですね。」
看護婦さんから少しおどかされていたもののまだ現実感ないままに、3月8日第1回目の手術日を迎えました。
今回の手術は、完全破砕している第2腰椎の上下部分に「ロッド」という金属の横支え棒を上下2本ずつ背中から入れるものです。

手術室までは極めて平常心、オペ中も全身麻酔で全く記憶なく、ここまではよかったのですが・・・。
麻酔が切れた瞬間にこの世の地獄!まさに腰をへし折られたか、槍で背中を串刺φされたような痛みに悶どりうちました。 ☆(>m<)。。◆ゞゞゞ~!! 
本当に手術あとの激痛は厳しいんですね。

でも誰もいない山奥の岩壁で転落して骨折瀕死の状態に陥った遭難者に比べればまだマシだと思って痛みに耐えていました。 
死の恐怖に怯えながら激痛に喘ぎ苦しむ人が襲われる孤独感と不安感の極み。
それと比較したら、小生の場合は病院の中で信頼する医師や家族に見守られている安心感があるのですから、贅沢いっちゃいけません。(自業自得の罰でもありますし・・・)
また、この痛みは日々和らいでいき回復に向かうもので、希望があることは幸せなことです。
末期ガンなどに侵されて治る見込みのない方が毎日味わう激痛の辛さ・苦しさ・絶望感は、それこそ想像だにできません。 



(忍耐苦痛編:その3)再び手術、ようやく自力歩行

3月15日、2回目の手術を迎えました。
前回は破砕した腰椎の上下に横支え土台を入れましたので、今回は左脇腹からメスを入れられ肋骨も切られて、その土台の間に縦の支柱棒を入れます。
第二腰椎部は破砕しスカスカの空洞になったため、左腰腸骨の一部を削り取りミンチ状にして埋め込み、骨粒分を補給します。(ちょっと説明が露骨な表現になりすぎたかな・・・?ゴメンナサイ)
でも約50年近く無傷だったボディには、ついに前・横・後と3カ所のメス跡を刻んでしまいました。

前回よりオペ時間はかかったものの、手術は完全に成功!!朗報を知った時は実に嬉しかった。
見守ってくれた方々・心配してくださった皆様に、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。(。-_-。)
しかし2回も手術を受けると本当に疲れ果ててしまいます。
まさに体力・気力・忍耐が要りますね。

手術後の痛みには再び苦しみましたが、麻酔の工夫・ケアもして頂いたおかげで前回の激痛と比べれば多少楽でしたし、2日後の3月17日には仮コルセットを装着し恐るおそる立ち上がることができました。
自ら直立するのは事故発生の時から、実に20日ぶりのことです。 \(^o^=^o^)/
3月18日には歩行器を使いながら、病院フロアをそろりそろりと「リハビリ徒歩訓練」に入りました。
入院以来寝たきりでずっと天井しか見ていなかった自分にとって、久しぶりに見るシャバの光景は懐かしいものです。
病院の窓越まで足を進めていくと、そこには冬型天気が続く3月の明るく輝く街風景、遥かには大山・丹沢山地を従えた真っ白な富士山の美しい姿が心を癒してくれました。
       

事故以来初めて直立、歩行器でリハビリ歩行訓練を開始(3/18)

病院窓から望む冬晴れの元住吉の街風景 遠くには真白な富士山も見えて心が和む

 武蔵小杉に建築中の高層マンション群 今年からは隣駅の風景が一変していく

3月中~下旬は世の中がとても忙しく落ち着かない時期です・・・。
サラリーマンの皆様は年度末業務で多忙のピークを極めているでしょうし、ご子息の卒業や進学・入学(入試結果はそれぞれ悲喜こもごも?でも新たな気持ちに向かって・・)、また転勤・引越しや送別会などで、巷はバタバタとして本当に忙しいはずです。
こんな時に我一人超然として、1日中ベッドの中でTVを見たり読書していていいのだろうか?
・・・と申し訳ない気持ちを抱きながらも、せっかく天から与えてもらったチャンスなので「皆が認めくれる長期休暇・自己静養」と割り切って、充電時間を十分楽しませてもらいました。

事故から約1カ月過ぎた3月28日、自分専用コルセットを装着での外出許可がついに出ました!
病院近隣の公園と周辺散策路を自力であちこち歩き廻りました。
久しぶりに外の空気を思いっきり吸える喜びと自由に歩き回れる開放感は格別です。
渋川・二ケ領用水の散策路は満開寸前の住吉桜。
水温む小川には白鷺が舞いおり何やら啄ばんでいます。
季節・心身ともにまさに本格的な春到来!思えば転落したあの日は、冬の青空が眩しく北欧のような霧氷樹林と雪山景色だったのに・・・。


3/28ついに外出許可!桜が咲き出す春の二ケ領用水

久々の外の空気は実に旨いぬる水の中で白鷺が啄ばむ

住吉桜(渋川)の並木道を散策、待ちに待った桜が満開!

退院の日をついに迎えて
カミサンには本当に感謝



(あとがき) 桜満開・春到来、退院・・・

3月31日ついに退院の日が来ました。
外に出てみれば、待ちに待った満開の桜が目に溢れます。
「史上最高の暖冬から一転、3月の冷え込み続き」や「東京の桜、開花全国一番」のニュースはベッドの中で聞くものであり「季節の移ろい」を肌身で感じることができなかったのですが、満開桜の下で直接に春の外気を感じ、健康を取り戻した喜びに浸れることは何にも替えがたいものです。
「やはり失ってこそわかる健康のありがたさ」、そして「人の思いやりの温かさ」・・・ですね。
また身の不自由を経験して「人間はひとりでは生きられない」という言葉・・・よ~くわかりました。

現在は自宅にてリハビリ療養中の身。
完全回復してコルセットが外れるのは6月下旬までかかるようですが、4月下旬頃には何とか新職場へ赴任したいと考えております。
(一刻も早く戦力となり、ご迷惑をかけた方々へお返ししなければ・・・。)☆★p(^o^)q★☆ 
大好きな山登りは当分おとなしく封印しておきますが、秋には再開してまた「Rウエスト山紀行」の筆も取りたいと思っております。 

繰り返しになりますが、今回の事故では皆様にご心配おかけいたしましたことをお詫び申し上げるとともに、入院中には心温まる励ましのお言葉やお見舞いを頂戴し、誠にありがとうございました。
まだ療養途中の身ではございますが、あせらず治療に専念し完全回復したうえで、皆様に元気な姿をお見せしたいと思います。m(__:)m
まずはご報告まで。

                                                 2007年4月2日


「転ちてみて知る身の痛さ・ひとなさけ 充ちて還れば、雪は桜に」
なんつって・・・寂恋法師殿、生まれて初めて歌を綴ってみましたが何とか及第点でしょうか?